余裕ができたはずなのに、心の余裕はなくなる一方で
体温は上昇するばかり。
俯いて、なるべく無心になろうとする。
須藤くんを見るからいけないんだ。
………少し落ち着いてきた。
お互い何も話さないけど、いつもより近くにいる須藤くんからふわっといい香りがした。
須藤くんはにおいまで優しく、石けんのような香りがする………
って、なんてこと考えてんだ私。
普通に変態じゃない?
考えてることが。
もー嫌だ、早く駅について。
じゃないと私の心臓がもたないから。
「……小野田さん。」
必死に他のことを考えようと思っていたら、須藤くんに話しかけられて結局意識はそっちにいってしまう。
「ど、どうしたの……?」
視線をあげたいけれど、絶対やばくなりそうだから俯いたまま返事する。
「なんか、今結構やばい。」
「え……?」
そ、それってもしかして今の体勢ってこと!?
やっぱり無理させちゃってるよね!
「須藤くん、そんな私に気を遣わなくていいからね?
全然満員電車とか平気だし!」
心配の方が勝ったため、ようやく顔を上げて須藤くんを見つめることができた。
だけど須藤くんは何故か驚いていて………
その後にふっと、優しく笑った。



