「きょ、今日の須藤くん、やっぱり変……。」
俯くことはできなくて、視線だけ下に向ける。
「………小野田さん。
こっち向いて?」
「………っ。」
優しい声でそう言われ、判断に迷ってしまう。
まるで私を惑わそうとしているような気がするんだ。
須藤くんから視線が感じるから、私は諦めて須藤くんの方を見る。
「そんな顔されると、困るな。」
困ったように笑う須藤くんがいつも通りに見えて、少し安心した。
安心したのも束の間、須藤くんが近づいてきて、私にそっと額を合わせてきた。
か、顔が近い……!
整った、綺麗な顔が目の前にあると直視できなくてまた視線を下に向けてしまう。
距離が近いせいで顔があつくなってしまう。
「………なんで、小野田さんだともっと触れたいって、思うんだろう。」
女嫌いなはずなのに、と続けて答える須藤くん。
……私が、聞きたいよ。
どうして私なら平気なのって。
それともこれも………
全部、計算でやってるのかな?
至近距離にある須藤くんの顔が、さらにぐっと近づく。
そしてそのまま、ゆっくりと唇が重ねられていて……
優しい、キスだった。
優しくて、だからこそ抵抗なんて言葉は全く頭に浮かばなかった。
須藤くんと初めてデートしたあの日の帰りに会った女の人が言ってた言葉を思い出す。
確かに須藤くんの今のキスは………
優しく包むような、そんな感じがした。



