そのまま手に持っていた鞄も落としてしまう。
どうしたんだろ……?
「………海斗、誰だこの綺麗な子は!
もしかして海斗の彼女か!?
この間も彼女連れてきてたのに、もう別れたのか!?
それとも二股なのか!?
お父さん、そんな子に育てた覚えはないぞ…!?」
いきなり黙り出したかと思えば、今度は止まらず話す。
こ、これが上原のお父さん……?
黙っていたら落ち着いた、冷酷な親に見えなくもないが、そのイメージはこの一瞬で崩れてしまった。
えっ……と?
「あのなぁ。
こいつは慎也の彼女だって。
んで、こいつがよく勉強教えてくれてる女。
これ言うの2回目!」
全く俺の親ときたら、と言ってやれやれとした顔をする上原。
それはどう見ても自然なそぶりだった。
「そうだったのか……!
騒がせてすまないね。
君、名前は?」
安心したように笑って、落ち着きを取り戻した上原のお父さんは私を見て言った。
「あ、えっと……小野田っていいます。」
「小野田さんか!
いつも息子がお世話になってます。」
ぺこりと頭を下げられたから私も慌てて下げ返す。
普通に、というかめちゃくちゃ良い人じゃんか………。
てっきり上原に対しては冷たい、厳しい人なのかと思っちゃったよ。



