「ひどいぞ!
本当はこんなイケメンのお兄ちゃんがいることに感謝すべきなんだぞ!
嬉しいだろ?
幼稚園でも俺、有名なんじゃね?」
その口調は完璧、表の上原のもので…………。
「うん、有名だよ。
でもね、明里ね、かっこいいのに賢くなくてスポーツできない残念なお兄だよってちゃんと言ってるからね。
みんな『えー!』って驚かれるんだよ。」
「ひどっ!
そこは完璧なお兄ちゃんって言うべきだろー。」
オーバーリアクションをとる上原を見て、明里ちゃんは笑う。
そしていつのまにか上原の隣に行き、2人は歩き出した。
……今、明里ちゃんはなんて……?
賢くなくて、スポーツができない………
それは完璧に、表の上原のものだった。
じゃあ本当に上原は、明里ちゃんの前でも表の自分を演じてるってこと?
「………驚いたよね。」
呆然とする私の隣に須藤くんが来て、そう呟くように言った。
須藤くんは全部知ってるようで。
「あれが、家族の前での海斗だよ。 」
って、確かにこう言ったんだ………。



