それからしばらく経ち、梅雨が明け夏が始まる7月上旬。


今も変わらず須藤くんとは恋人のフリを演じ、上原とは放課後たまに勉強をした。


今では私が教えてもらってる側だけど………


それだけで後は特になにもなかった。


他の族に襲われたりすることもなければ、上原と須藤くんが怪我を負うこともなく平穏な日々を過ごしていた。


今では須藤くんの怪我もすっかり治っている。


この期間でわかったことといえば、とにかく須藤くんが優しいこと。


さりげない優しさが無意識に女の心を掴んでいるのだ。


普段は一緒にいて落ち着くし、上原より何万倍も須藤くんの方がいい!


それでもやっぱり距離を感じることはあるし、一線を引かれてるけど………


それは仕方ないなと割り切っている。


だって恋人のフリなだけで須藤くんとキスしたこともなければ手をつないだこともない。


私自身、須藤くんに触れないように気をつけている。


だって須藤くん、女の人が気持ち悪いって言ってたし……!


もちろん上原にも警戒はし続けている。


その成果もあり、あの日以来上原に触れられたことは一度もなかった。


このまま、平穏な日々が流れますように。


そう私は心の中で願っていた……。