「……わか、りました。わかったわ」


私がそう言うのと同時にするりと、私の胸元のリボンがシーツの上に落ちる。

私は首元のボタンに手をかけて、一つ、二つとゆっくりと外し始めた。

緊張と羞恥で指先が震える。
ボタンを外す手が胸元に届く時に、自分の手の甲に冷たい水が落ちたことに気が付いた。


「……すまない。泣かせるつもりはなかったんだ」


自分で泣いてることに気が付くより先に、エリオット王子の指先が私の濡れた頬に触れた。


「恐らく隣国の者だ……その者達に奇襲を許させてしまったことと、君にこんな情けない姿を見せてしまったことで、少し気が立っていた」


エリオット王子は焦ったような早口でそうまくし立てるが、私にはその表情は、涙で滲んで見ることができない。