冷徹王子と成り代わり花嫁契約


「もっと近くに」


そう言われてベッドに身を乗り出すようにすると、そのまま手首を掴まれてエリオット王子の方へ引っ張られた。


「あ、あの……近い、わ……」


急に腕を引かれたことにより私は体勢を崩し、エリオット王子の胸に飛び込む形となった。

互いの呼吸が聞こえる距離に赤面しながら、私は元いた位置に身体を戻そうともがくが、手首はエリオット王子に掴まれたままだ。


「君が欲しいと言ったら、どうする?」


触れ合った肌から響いてくるその声はどこか切なげて寂しそうだった。


「どうって……」


顔を上げようとすれば、私の後頭部に回されたエリオット王子の手で制止され、その胸に鼻先をぶつけることとなった。