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夜の帳が下り、従者達も寝静まるであろう頃に、私は眠れずに書斎へ足を運んでいた。

この国を律するための法が記載された本を引っ張り出し、改めて妹が遺したとんでもない事実を思い知らされた。


「どうしたものかしら……」


本人に確かめたわけではないが、婚約者がいながら他に恋人がいたことは、事実と断定してもいいだろう。

この国では、未婚の女性の不貞行為は大罪だ。ましては一国の頂点に君臨するであろう未来の王女が不貞行為を働いた事が公になれば、首を撥ねられかねない。

それも、身に覚えのない私が、彼女の代わりに。


我が妹ながら、とんでもない物を遺してしてくれたものだと、私は深いため息をついた。

この事はエリオットには黙っておいた方が良いだろう。
彼が本当に妹の事を愛していたのであれば、あまりに残酷な事実だ。