冷徹王子と成り代わり花嫁契約


「それなら、首の後ろを見せてくれないか?」

「首?」


何故そんなことを、と言わんばかりに、私は首を傾げて後頭部に手を当てた。


「本当に彼女だと言うのなら、首の後ろにホクロがあるはずだ」


首の後ろは本来、女性が晒すことのない場所だ。大抵は襟の長いブラウスを着ている。

そうでなかったとしても、ホクロがあるなどとわかるほど、他人が近くに来ることなんて――そこまで考えて、クリストフ王子が少しだけ頬を赤く染めていることに気が付いて、私は目を見開いた。


「――これで満足?」


半ば自暴自棄になり、胸元のリボンを解いて見せた。短くなった髪の毛を避けてみせた。