「ロゼッタは外で靴を脱いだりするような女性ではないよ」
「ええ、そうね。お目付け役がいないから、つい開放的になってしまって。失礼したわ」
クリストフ王子の指先が、私の髪の毛の先に触れるより先に首を横に振り、その手をかわした。
「何度も言わせないで。私はローズ・スカーレットよ。同じ顔、同じ声の人間がこの世界に存在すると思っているの?」
焦りからか、少し早口になってしまいながらも、私は毅然と言葉を返した。
しかしクリストフ王子も全く動じることなく、振り払われた手をしばらく見つめたあとに、私の目を真っ直ぐに見た。


