「ちょ、ちょっと……」
「せっかくの綺麗な足だ。怪我をしたら大変だよ」
クリストフ王子は腰に巻いていたスカーフを解いて、砂埃で汚れた私の足を包み込んだ。
「け、結構よ!スカーフが汚れてしまうわ!」
「構わないよ」
エリオット王子の少し強引で粗雑なエスコートとは違う、淑女を丁重に扱うような優しい手つきに動揺しているうちに、足の汚れを拭き取られ、パンプスを履かされていた。
「あ、ありがとう……」
「どういたしまして」
居心地が悪くて、誤魔化すようにパンプスを履いた足を揺らしていると、クリストフ王子はにこにこと人の良さそうな笑みをたたえたままで、私の隣に座った。
少し距離が近いような気がして、間を開けようと身じろぎすると、クリストフ王子は笑顔を張り付けたまま、おもむろに口を開いた。


