「何だ、どうした?」
クリストフ王子は私にそこに留まるようにと手で制止し立ち上がった。
転がり込むようにして鉄格子の前にやってきた兵士を見ると、服の肘の部分が刃物のようなもので知られた跡があり、微かに血が滲んでいた。
「侵入者です!褐色の肌に赤い瞳で……」
言い終わるや否や、半開きになった鉄製の扉が爆音を立てて開かれた。
扉の向こうから、鉄格子の向こうにいる兵士と同じく黒いジャケットと赤いズボンを着た男が飛んできて、目の前いた兵士を巻き込んで倒れた。
「なるほど。お姫様奪還作戦ってわけか」
クリストフ王子は鉄格子の向こう側を睨みつけながら、小さく呟いた。


