「心配をしなくても、ロゼッタの居場所がわかるまでは殺したりはしないさ」
「閉じ込めて、拷問でもするつもり?無駄よ」
勉強をしていた時、様々な拷問器具や方法について書かれた本のことを思い出す。
内心冷や汗をかきながらも、動揺を悟られないように強めの口調でそう返すと、クリストフ王子は何故だか楽しそうに口角を上げた。
「君がロゼッタ本人だと言い張るなら、身体の隅々まで調べてあげてもいいが?」
クリストフ王子の手が私の首筋にぴったりとくっつき、そのまま鎖骨の方へと手が降りていく。
妙な寒気と嫌悪感を覚えてその手を払い除けると、クリストフ王子は驚いたのか目を丸くした。
「嫌よ」
彼の手を叩くように払い除けたせいで、手の甲が微かに痺れて痛む。
手の震えを隠すようにもう片方の手で自分の手を押さえて、もう一度クリストフ王子を睨みつけた。


