「食べられないもの」
ジャラジャラと音を立てて、手首につけられた手枷と重たい鎖を掲げて見せつけてやると、クリストフは面倒くさそうに舌打ちをした。
そうしたのはあなたでしょう。その言葉を飲み込んで、上げていた腕を下ろす。疲労と空腹で、力が出ないのだ。
クリストフ王子は器用に片手でサルヴァーを水平に持ったまま、もう片方の手で鉄格子に掛けられた南京錠を外した。
「食事の間だけは外してあげよう。変な気は起こすなよ」
クリストフ王子は食事を運ぶためのサルヴァーを私の目の前に置き、腰に下げていた鍵の束から小さな鍵を選び取り、私の手枷の横につけられた鍵穴に差し込んだ。
鎖に繋がれた大きな手枷が外され、音を立てて床に落ちる。
開放された手首にほっと息をついて、手首を前後に倒したり、捻るように回してみる。
ずいぶんと緊張で凝り固まっていたらしく、関節がパキパキと音を立てた。


