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牢獄に閉じ込められてから、もうどれだけの時間が過ぎたのか。
遥か頭上にある小窓から光が差して、私が丸一日ここで過ごした事実を、静かに告げていた。
王宮内は今頃私が失踪したと騒動になっているだろうか。それとも、誰も気に留めていないかもしれない。
一人薄暗い部屋でそんなことを考えていると、何だか気が滅入ってきた。雰囲気のせいも、あるだろうが。
しばらく思考を回していると、昨夜ぶりに鉄格子の向こう側から扉が開く音がして、私は身体を強ばらせた。
「食事くらい口にしたらどうだ?」
食器の置かれた薄い木のサルヴァーを持ったクリストフ王子が、鉄格子の前で呆れたようにため息をついた。私はその言葉には答えず、目の前の男を睨みつけた。
昨日から、一定の間隔でクリストフやその従者らしき人物手から運ばれてくるパンとスープに、私は一切手を付けていなかった。
確かにお腹は空いたが、敵地で、しかもこんな風に縛り上げられてとてもではないが食べる気にはならない。


