「けーちゃんの親、今日も帰り遅いよね?」
涼太にそう問いかけられ、一瞬考えてみるも、俺はその後すぐに答えた。
「……そうだな」
俺がそう返事をすると、涼太は少し不満げな表情で言った。
「けーちゃんが熱で倒れたこと言ったの?」
涼太が少し不満げな顔をしている理由は、なんとなくだけど、分かる気がする。
涼太の両親は海外に住んでいて、今は一緒に暮らしていないからだ。
不満げな顔をしていたのはきっと、
しんどい時に側に誰もいない経験をたくさんしてきたからだろうな、と思う。
だから涼太は、俺のことを心配して言ってくれたんだよな。
「……別に言わねぇよ…言うほどでもないし」
俺が涼太の目を見てそう言うと、涼太はさっきよりもムッとした顔で言った。
「じゃぁ、今日は俺ここに泊まる~」
そう言って涼太は、床に大の字になってゴロンと寝そべった。
「……ふっ…」
拗ねた様子の子供っぽい涼太に、俺は思わずクスッと笑ってしまう。
いつもはオカンみたいなのに。
俺は、床に寝そべっている涼太をベットの上から見下ろす。
学校、途中で抜け出して、
…ここまで俺のこと運んでくれたんだよな
「…涼太ありがとう」
俺はそう言うと、なんとなくそっぽを向いた。
目を見てお礼を言ったりするのはすごく苦手だ。
俺は…涼太みたいに素直じゃないから
「ツンデレけーちゃん可愛いなぁ~」
げっ
いつの間にか床に寝そべっていたはずの涼太は起き上がっていて、
こちらをじっと見つめていた。
「……お前いつも可愛い、可愛いって…」
確か…出会ったときから言ってなかったか?
「……けーちゃん、おっきくなったよね」