すると、涼太くんは目を細めて笑った。
でもそれはどこか寂しそうで、
「帰ってこなかった」
とても、切ない瞳_
私は、胸がぎゅっと締め付けられたような気持ちになった。
「………」
聞いておいて、かける言葉がみつからない自分が、とても情けない。
すると涼太くんは、何かを察したように、明るい声で言った。
「だーいじょぶだって!俺にはけーちゃんいるし、ららちゃんもいるし、友達いっぱいいるからさ、寂しくない、寂しくない」
涼太くんはそう言ってニッと笑う。
…そう…なのかな…?
さっきとは違う、いつもの涼太くんの無邪気な笑顔に、私はどこかホッとしていた。
「あ、あれ、ららちゃん家じゃない?」
…あ…ほんとだ…
…もうこんなに時間が経ってたんですね…
「遅くなってごめんね。あ、後、この薬けーちゃんに飲ませるね」
さっき一緒に買った、薬が入った袋をひょいっと持ち上げて、涼太くんは言った。
「はいっ、お願いしますっ」
私はそう言うと、ペコッと頭を下げる。
「じゃぁ、またね」
涼太くんはそう言いながら、私に手を振ってくれる。
あっ、お礼っ…
「涼太くん!送ってくれてありがとうございました!」
私は、涼太くんの綺麗な瞳を見てそう伝える。
「いいえ」
涼太くんは、優しい笑顔でそう言った。
「…………」
こんなにもたくさん笑顔をもらって、
涼太くんといるとすごく楽しくて、
…なんというか…
「今日はっ…私にとって、とても大切な日になりましたっ…」



