『………っ』
俺は勢いよく立ち上がった。
『にゃぁー』
『ありがとうね!』
俺は直感で、猫ちゃんにそうお礼を言った。
するともう一度、俺の足に頭をスリスリとした後、どこかへ歩いていってしまった。
きっと俺に教えてくれたんだよね。
『……すごいなぁ…』
俺は猫ちゃんのたくましい背中を見ながら、そう呟く。
公園に走っていくと、俺は男の子に声をかけた。
『……あのっ……大丈夫?』
俺が声をかけると、その子はうつむいていた顔をゆっくりと上げた。
『怪我してる!喧嘩でもしたの?』
顔には傷がたくさんあり、無表情で俺を見つめている。
喧嘩…じゃ…ない?
俺が焦ってそう問いかけても、男の子は感情が読めない顔で、
ただこちらを見つめるだけだった。
まるで、笑うことも、泣くことも、苦しいと言うことも、
忘れてしまったかのように。
この季節に似合わないくらい薄着な男の子に、俺は自分のパーカーを脱いで被せた。
__ビクッ



