……え…
ららの聞いたこともない大きな声を聞いて、思わず俺は振り返った。
「はい!…って…だ、だれ…?」
すぐに涼太の噛みまくった、まさに動揺した返事が返ってくる。
だけどすぐに、何か思いついたように涼太が言った。
「あっ、通りすがりの方ですかっ?」
「あ、……」
その言葉にららは、グッと口ごもったが、その後すぐに返事をした。
「は、はいっ…」
「……ぶふっ……」
ま、待って……おもろっ…
俺は我慢できず、吹き出してしまう。
…や、お前ら同じ学校だから…
「ん…?なんかけーちゃん笑ってる?…あ、あぁ、その、そこにいるの俺の親友なんで今から迎えに行きますっ」
涼太の動揺した、でもいつもより少し大人びた声が、電話越しに聞こえてくる。
「ぁ、あのっっ…」
ららは俺からケータイをパッと取ると、大きな声でまたそう言った。
「は、はいっ?!」
…ぶふっ……
涼太も焦ってる…
…もうこの二人面白すぎんだろ…
俺は笑ってはいけないと、グッと笑いを堪える。
だってさ、
…こんな必死ならら…
「ここっ小さいので見つけずらいかもしれないんですけどっ…学校から10分くらいの、夜はヤンキーのたむろの場所になってるところですっっ」
…見たことない…
「ぶふっ……」
だ、ダメだ…
夜はヤンキーのたむろの場所ってなんだよ
スルーしようと思ったけどやっぱ無理っ
俺は熱で頭をフラフラさせながらも、ららの今までにみたことのないくらい必死な姿に、
思わず可愛くて笑っていた。
「…夜はヤンキーのたむろの場所……」



