「…蛍くん…?」
ららは不安そうな声で、俺の名前を呼ぶ。
それでも俺は何も言わず、ただ強く抱きしめた。
_しばらく沈黙が続いた後に、優しい口調で、ららは話を始めた。
「……蛍くんを知らない頃…」
ららの優しい声が耳元で聞こえる。
こんなに近くにいても怯えないららは、初めてなのかもしれない。
「…蛍くんとまだ出会う前…」
「私はすごく…寂しかったんです」
そう、いい思い出を語るように話を続けるらら。
「…毎日…毎日…ここに来て…一人で過ごしてました…」
声…震えてる…
「…寂しくて…怖くて…」
「…毎日学校から電話がかかってくるんです…」
「でも怖くて出られませんでした…お母さんにだって毎日…毎日…っ…」
「…当たり前のようにっ……嘘をつきました…っ…」
「すごく辛くてっ」
「…っ…もう…生きていたくないとも思いました…」
_ドクン
その言葉は、悲しく、辛く
俺が一番言ってほしくない言葉だった。
「…でも蛍くんと出会って……」
「…すごく怖いし、変態ですけど…」
「…おい」
「あははっ…でも……」
ららの笑い声が聞こえ、少しの沈黙が流れた後、ららはまた優しい声で言った。
「…生きてて良かったって…そう思えるようになったんですっ…」



