「……け、け、蛍くん?!」
あの時とは違うその言葉を聞いて、ホッとなぜか安心したような気持ちになった。
「…悪かった」
俺は驚くららの前に立ち、そう言った。
「……え…」
すると驚いていた目は、よりいっそう丸くなる。
「今日ガチで寝坊した。約束破ってごめん」
正直怖かった。
情けないけど、ダサいけど怖かった。
謝るのはこんなにも勇気のいることだと、改めて思う。
「………」
ららはポカーンと口を開けて、そこから何も言わなくなってしまった。
許してもらえるか分からないこの時間は、なんだか心臓がドクドクと速い気がする。
「……け…蛍くん…?ほんとに蛍くんですか?」
……?
突然、意味の分からないことを言い出したららに、次は俺が何も言えなくなってしまった。
「ふっ……あははっ…」
…わらっ…?
「…え……は?」
…なんで笑ってんだ?
「…おい、真剣に謝ってんのに…なんだそれ」
俺は笑われ、なんだか途端に恥ずかしくなる。
「…あはっ…ご、ごめんなさいっ…」
「蛍くんがなんだか可愛く見えてしまってっ…」
か、かわ?!
「は?!…お前もかよ」
まさか…ららまで可愛いとか意味わかんねぇこと、言うとは思わなかったっつーのっ
涼太ぐらいだと思ってたのに…
「…お前も?」
ららは俺の言葉に不思議に思ったのか、そう問いかけてくる。
「…涼太も俺のことそんな風に言う」
俺はそう言うと、ららの隣に座った。



