「…あ」



…向かう場所間違えたわ…


きっとあいつがいる場所は家じゃない。



…焦っててこんなことも気づかなかった



「……はぁっ……はぁっ……」


…会ったら何て言おう


…いや、


まずごめんだよな。


ららのことを思い浮かべながら、ただひたすら走った。



「はぁっ…はぁっ…はぁ」



「………」


その場所についた瞬間、


小さい女の子がベンチに座っているのが、すぐに目に入ってきた。



__そこは俺達が初めて出会った場所。



あの時と同じように、スカートにポタポタと滴の模様を作って、俯いている女の子。



俺…あの時…


……この子を助けたいって、


_そう思ったんだよな



…なんか、


__昔の俺みたいだったから



俺は静かに歩み寄る。



俯いているその子は、俺がいることに気がつかない。


そして、



「…大丈夫か」


こんなありきたりな言葉で、その子は顔を上げる。