…へ…?



「この音…俺の母さんだから」


…母さん…


「泥棒とかじゃない」


…泥棒じゃない……



「だから落ち着け」


よ…


「……よかったぁ……」



はっ…


私は蛍くんのお母様のことを泥棒…だなんて…



…すみませんでした~~っ



「……らら…」



「…他の男にはこういうことすんなよ」



そう言う蛍くんは、なぜか少し頬が赤い気がする。


…こういう…こと…?


私は蛍くんの目をじっと見つめる。


すると蛍くんは私から、ふぃっと目を逸らした。



「……はぁ~…わり、やっぱなんもねぇわ」


……?


蛍くんは、なんもねぇ(←蛍くんの真似)が多いなぁ……


蛍くんはベットからサッと起き上がる。


「お前、そこにいろよ」


「…は…はい」


蛍くんが部屋を出ていってしまい、一人になった私はグルグルといろいろなことを考えていた。


…泥棒じゃなくて良かった…


…でも蛍くんすごく焦ってました…


私が蛍くんの家にいることを、知られたくないから…


…そりゃそうですよねっ



そういえば、今何時なんでしょう…


私はスカートのポケットからケータイを取り出す。


「…16時40分…」


わ、もうこんな時間。


…蛍くん…学校が終わって帰ってきたんだ。


ようやく、今の状況が掴めてきた。


「母さん、俺ちょっと涼太のとこ行ってくるわ」


あ…蛍くんの声が微かに聞こえる…



…りょうたさん?…って誰だろう?



「今から?……嘘ついてないよね…?」