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「あー…眠い」
「部活休みとかつまんないなぁ…」
「お前バスケバカすぎてちょっと怖い」
「だって部活楽しいんだよ!?」
「ふふっ…」
ふたりの会話を聞きながら、私はいつものように微笑んだ。
3人で歩く帰り道。
何気ない会話。
同じ制服を着て、同じ学校に行って、一緒に帰る。
きっとそれは、当たり前のようで、
奇跡みたいなもの。
「蛍くん、涼太くん」
名前を呼ぶと、こっちに振り向いて、ん?と不思議そうに私を見つめるふたり。
私はそんなふたりに、ニッと笑って見せた。
「私…学校が大好きになりましたっ」
嬉しそうに笑う、蛍くんと涼太くんの目から、綺麗な涙が頬を伝った。
「…うぅ~…わが子の成長を見守ってる気分だよ~…」
「…こんなときにまでオカンかよ…」
そう言って無邪気に笑うふたり。
「…えへへっ」
たくさん泣いたから、
たくさん笑おう。
「おーいっ、永瀬!岸!お前ら戻ってこぉーい!」
……ふぇ?
3人一緒に後ろを振り返ると、なぜか先生がこっちにめがけて走ってくる姿が見えた。
しかも全力疾走で…
「あ、あの…呼ばれてます…よ?」
状況が理解できなくて慌てていると、涼太くんが「…はは」と力なく笑う。
「…俺たち…補習サボったんだよね…」
……へ?!
「…やべ…走るぞっ」
蛍くんと涼太くんが私の手を握って、びゅんっと走り始めた。
「えっ」
や、やっぱり速い~~っ
「わぁ~~~~」



