ふたりの可愛らしい言い合いに、ふっと笑みがこぼれた。



さくさんはきっと、自分の作品に真っ直ぐ向き合う人なんだろうなぁ…



「ぎゃーー、私たちの蛍くんがぁーー」



「結局どっちから告白したの?!」



…どっちから…



頭の中で蛍くんに告白されたときのことを思い出して、きゅんとしてしまった。




「…俺が惚れて、俺が告白した」



「もうこれぐらいでいいだろ…うっせーんだよ」




……うっ


キュンメーターが…



「「きゃーー」」



皆がきゃーっと盛り上がるから、蛍くんはチッとしたうちをひとつ。



私も心の中では、きゃーーって言ってます…もうキュンメーターが壊れました…


ありがとうございます…




この様子だと、


蛍くんもう怒ってないのかも?!



…き、聞いてみるなら今かな?




「…蛍くん…私に…怒ってますか…?」



まだ蛍くんに抱きしめられている私は、こそっと小さな声で聞いてみた。



「……は?」



……え?



「なにに?」



……あれ?


蛍くん覚えて…ない?



「昨日…電話で、どんかーんって言っちゃったり…その…」



「そんなことで怒らねぇよ」


「まぁ、ちょっとムカついたけど」



怒ってない?!


だってだって、


朝だってそっけなかったし、目だって合わせてくれなかったし、



「……ぶふっ…」



えぇっ?!



涼太くんが耐えきれなくなったかのように吹き出して、眉を下げている。




「……仲直りしましたか?」



ヘラッと笑って首をかしげる涼太くん。



ようやく蛍くんは私からゆっくり離れた。


体温を感じていた背中が少し寂しい。



「涼太てめぇ、俺が怒ってないことぐらいわかんだろ」



「……わざとだろ」



わ…わざと?


なにがなんだか分かんなくなって混乱していると、涼太くんが「ごめんね」と微笑んだ。




「ふたりが喧嘩ってなんか面白くて、けーちゃんが怒ってないって知ってたけど気づかないふりしちゃった」



えぇっ