後ろからぎゅっと抱きしめられて、ふわりと落ち着く匂いにつつまれる。



私の大好きな人の匂い。



……けい…くん…



少しの間話していなかったからか、抱きしめられていることに、泣きそうになってしまった。




「俺の彼女に、」




「…手だしたら許さねぇから」




耳に響く特別な言葉。



「「きゃぁぁぁぁ」」



周りの皆はきっと見るの初めてなんだろうな。



蛍くんのドSの顔。



私は蛍くんに気づかれないように、ふっとはにかんだ。




「あ?お前も何ヘラヘラしてんだよ」



へっ?!


笑ったの気づかれてる?!



大好きな人の声がすぐ耳の近くで聞こえる。




「……バカ…」



私の頬に柔らかい何かが触れて、



チュッとリップ音が鳴った。



「……っ…」



み、みんな見てる…のに…



「「きゃぁぁぁ」」



「なに?!ふたりいつから付き合ってるの?!」



「どっちから告白!?」



皆にたくさんの質問をされて戸惑っていると、さくさんがしょんぼりしたように呟いた。




「いや…俺、絵のモデルになってってお願いしただけで…」


_べしっ



「あんたがややこしいこと言うからでしょうがっ」



「いてっ」



「未輝はもっと彼氏を大事にした方がいいんじゃないかなぁ」



「うるさい、あほっ」



「いてっ」



か、彼氏!!



さくさんって、未輝ちゃんの彼氏だったんだ!!