突然、真ん中にいた女の子が大きな声でそう言ったから、
グラウンドで遊んでいた他の生徒たちの視線がこっちに集まった。
…好き…
だから…いつも近くにいる私が嫌だったんだ。
なんの努力もしないでそばにいられる私にムカついてた…
「…ご…ごめんなさい」
「分かったならいい、もう近づかないでよね」
「…でも離れることはできません」
「私の大切な人だから」
ふたりは私にとって、この世にたった一人しかいないかけがえのない人で、
代わりなんていない。
離れるなんて、
「絶対、嫌です」
こんな気持ち初めてです。
絶対譲れない、譲りたくない。
周りなんて見えなくて、ただ分かるのは真ん中にいた女の子が、少しだけ口を緩ませたこと。
笑って…る?
「…それが本性ね」
見透かしたようにそう言って、私に背を向けた。
「…そういうの、嫌いじゃない」
顔は見えなかったけど、声だけで伝わってきた。
さっきとはまるで違う声のトーンで、話し方。
「れいこさん!ひめさん!さやかさん!」
私は女の子3人の名前を呼んだ。
本当は知ってる。
3人の名前。
クラスの皆と仲良くなりたくて、覚えたんです。
真ん中にいるのが、れいこさんで、いつもれいこさんの右にいるのがひめさん。
そして、いつもれいこさんの左にいるのが、さやかさん。
れいこさんは、勢いよくこっちへ振り返って、
「いつ名前覚えたの、きもっ」
って、トゲのある言葉をかけられてしまった。
でも全然痛くない。
だってそう言いながら、見せたことのない無邪気な笑顔で笑っていたから。
きっと彼女たちは心が素直な人で、私みたいにオドオドした人が苦手で、
少し口が悪いだけ。
本当は優しい人なのかも。



