声が震える。



「…ずっとっ…行ってきますって言いながら…公園で過ごしてた…」




「本当は不登校なの…ごめんなさい…」



「嘘ついてっ…傷つけてっ…」



__怖い



「ごめっ」



その時感じたのは、お母さんのぬくもり。


小さい頃から何も変わらない。



…あたたかくて、優しい…




抱きしめてくれたことに少しだけ、ホッとした。




「…お母さん…そのこと知ってて黙ってるの…」



「ずっと、きっと辛かったのに…」




「…見守っててくれて…ありがとう」



伝えきれないくらいの、ありがとう。



「わたし今日、初めて教室に入って授業を受けたの」



「すっごく…楽しかった」




私ができる恩返しを。



“学校生活を一生懸命楽しむ”




「ずっと…それが聞きたかったのっ…」



お母さんはそう言って私からゆっくり離れると、涙で濡れた瞳を私に向けた。



きっとそれは私も同じ。



私を見つめるお母さんは、すごく優しい。




「…ららが笑ってくれたら、お母さんはそれでいいのよ…」




お母さんの手が私の頬に優しく触れたかと思えば、涙を拭ってくれた。



私の幸せを願ってくれる人。



「あとね……お弁当いつもありがとう」



「…とってもおいしい…」



きっと大人になっても忘れない。


おばあちゃんになっても忘れない。



私が不登校になったこと。


嘘をついていたこと。


生きていたら、暖かい人たちに出会えたこと。



生きていてよかった。そう思えたこと。


初恋をして、彼氏ができたこと。


友達ができたこと。



大人になって、もし自分に子供ができたら絵本みたいに読み聞かせなんてしたりして。




そんな先のことを考えられるようになったのも、皆のおかげです。




これからもっと、たくさん楽しかった話をするね。



そしたらお母さん、「よかったね」って笑うだろうな。




きっと、嬉しそうに笑うんだろうな。