くつ箱に向かうために廊下を歩いていると、ついじっといろんな場所を観察してしまう。
まるで私だけ、ドキドキする入学式当日みたい。
蛍くんも入学したての頃はこんな気持ちだったのかな。
私がもし不登校じゃなければ、学校生活にも慣れて、一緒に笑ってたりしたのかな…
……あれ?
でも、私が不登校じゃなければきっと仲良くなってない…
あんなに人気者で、いつもいろんな人にかこまれてる蛍くんと涼太くんが、
私なんかと仲良くなるわけがない。
……だから、
私が不登校だったから…ふたりに出会えた
……そう考えたら私、悪いことばかりじゃなかったな
不登校だったけど、悪いことばかりじゃなかったんですね。
……ふたりに出会えたんですから
「……私、家に帰ったら…今まで嘘ついてたことを、お母さんに謝ろうと思います」
私、少しずつだけど前に進んでる。
きっとすごくゆっくりだけど、一歩踏み出すのに時間がかかってしまうけど、
「…それと、ありがとうって伝えます」
きっと大丈夫。
蛍くんは私の手にそっと触れると、指を絡ませた。
「……気持ち…ちゃんとぶつけてこい」
_背中をおしてくれる
蛍くんの手から、言葉から、
頑張れって伝わってくる。
眠夜先生の言ったとおり、私はこんなにも暖かい人たちに出会いました。
出会いはきっと、突然__



