不登校恋愛




しばらくハグをしたあと、蛍くんは私からゆっくりと離れた。




蛍くんのぬくもりが少しずつ消えていって、少しだけ寂しいな、なんて思ってしまう。




「……俺けっこう寝てた?」




蛍くんが自分の後ろ髪をわしゃわしゃしながら自分の席に戻っていった。



…も、もう動いていいのかな?




「……い、いえっ、少しだけです」




むしろ蛍くんの美しい寝顔を、無制限の無料で見てしまったことに罪悪感が……




「りょーた部活?」



「あ、はいっ」



蛍くん寝ぼけてるから状況把握をしている…



そんな蛍くんを見て、可愛いなぁって思わず頬が緩んだ。



蛍くんは自分のカバンを持つと、私をじっと見つめた。




「…待っててくれて…さんきゅな」



蛍くんは少し照れたように私から目を逸らした。



「はいっ」



蛍くんと一緒に帰りたかったから、待ってた。



なんて言ったら、蛍くんはどんな表情をするんでしょうか?



呆れたように笑うかな?




「……まだかえんねーの?」



「帰ります!」



…一緒に帰れるの嬉しいな



緩む頬をおさえられずにそのまま自分の席に向かって、自分のカバンを手に取ると、



蛍くんに「にやけすぎ」って笑われてしまった。