シーンと静かな教室で、ふたりきり。
ドキドキして、心が蛍くんに恋してるって叫んでるみたい。
…だ、誰か来ちゃったらどうしよう…
いけないことをしているみたいに、ドキドキする。
ずっと何も言わない蛍くんの手に触れてみた。
へへ、やっぱり大きい…
「……蛍くんに抱きしめられると、幸せな気持ちになります」
嬉しくてついそんな言葉がこぼれた。
「……うん」
…あれ?
蛍くん元気ない…?
うんって言った声が少しだけ元気がないように聞こえて、心配になる。
「……蛍くん?」
蛍くんの顔が見たくてくるりと向きをかえると、そっと顔をのぞいた。
「……体調…悪いんですか?」
心配になってそう問いかけると、次はぎゅっと正面から抱きしめられてしまった。
……えぇっ
どうしちゃったんだろう…
「あ、あの…蛍くん…?」
私がもう一度名前を呼ぶと、蛍くんは私の耳元でボソッと呟いた。
「……どこも悪くねぇ」
「なぁ、ちょっとだけ甘えさせて」
……あ、甘え…?
蛍くんが私に甘えてくれている……
抱きしめられてる体も、頬も耳元もカァァと熱くなって恥ずかしい。
でも……嬉しい
蛍くんが私に甘えるなんて初めてです。
それにカップルみたいで嬉しい。
私だけがいつも頼ったり助けられたりしているから、私に甘えてくれた蛍くんが嬉しくて愛しい。
……少しは蛍くんの役にたてていますか?
私はそっと蛍くんの背中に手をまわした。
「……もちろんです」
私が蛍くんと一緒にいると落ち着くように、
蛍くんも私といると落ち着くなってそう思ってくれていたら嬉しいなぁ。



