涼太の返事も聞かずに、涼太の服をひっぱって体育館へと向かう。
「…ふーん」
見透かしたような、バカにしたような先生の声が後ろから聞こえたけど、気にせず歩いた。
しばらく歩くと、俺は涼太の服から手を離した。
「藤村先生、俺らがさぼろうとしてるの気づいてるっぽいね」
落ち着いた声で涼太はそう言った。
…やっぱそうだよな
「…あぁ」
それだけ呟くと、なんとなく視線を地面におとした。
そんなことより今は、ららが心配。
なんもトラブルとかなければいいけど。
あいつのことだから、どっかで転んだり、もしかしたら焦って体操服を裏返しに着てたりして…
……うん、普通にありえるわ
それに女子の体育はたしか…
「…バスケだよな?」
体育館に近づくにつれて、ドリブルの音がどんどん大きくなっていく。
それにバスケは涼太とよくやるから、ボールの音でだいたい分かる。
「そうだよ、いいなぁ…俺もやりたい」
涼太は羨ましそうに眉を下げた。
…は?
「いや、放課後できるだろ、お前バスケ部なんだから」
……バスケばかすぎるだろ…