読み始めると、案外スラスラと読めて自分でもびっくりした。
「だから、私は少しでも前に進む。」
最後の文章を読み終えると、先生は「座っていいぞ」と言って、笑みをこぼした。
静かに席に座ると、隣に座っている蛍くんを横目で見つめる。
…ありがとうって言いたいな
でも授業中だから後で言おう。
そんなことを考えていると、バチッと蛍くんと目があってしまった。
「……なんだよ」
そう小声で呟く蛍くん。
「あっ…さ、さっきは教えてくださってありがとうございました」
「……うん」
しばらくの沈黙の後、少し照れたように返事をしてくれた。
…ふふ、照れてる蛍くん
「かわいい」
蛍くんが目を丸くして私を見ている。
あっ
もしかして…
「…声に…ででましたか?」
私が恐る恐るそう問いかけると、蛍くんはにこっと笑って見せた。
…ひぃっ
……す…すごく怒ってる…
そのとき、私の手に何かが触れた。
それは大きくて温かい、蛍くんの手。
優しく触れられたかと思えば少し強引に引き寄せられて、
「……お仕置き」
耳元でそんな甘い声が聞こえたかと思えば、唇に柔らかいものが優しく触れた。
目を閉じる暇なんてなかった。
すぐに離れていってしまった蛍くんの唇に、もっと触れていたいな…なんて思ったりして、
…蛍くん…
ドキドキして、倒れちゃいそうです…
なにも知らない先生は黒板にチョークで文字を書いている。



