シーンと世界から音が消えてしまったように静かになった後、
ひとりの男の子の小さな声が教室に響いた。
「…え、だれ」
「……っ…」
みんなの視線が私をしっかりととらえている。
一瞬だけ静かだった教室は、一瞬でザワザワとたくさんの音で包まれた。
「転校生?!」
「なんか怯えてね?」
「なんで永瀬くんと岸くんが一緒なの?!」
「状況が理解できねー」
「てゆうか、あの子…うわさの不登校の子じゃない?」
たくさんの音の中から、そんな言葉が耳に届いた。
「……っ…」
なにか、なにか言わないとっ
口を開けてみるけど、緊張で声が出ない。
…何を言えば、いいんだろう
頭が真っ白になって、ただたくさんの音だけが聞こえる。
ザワザワしている中、蛍くんが私の横を通りすぎて前に出た。
「永瀬くんその子だれ?!」
「なんで一緒なの?!」
みんなの視線が蛍くんに集まる。
蛍くんは焦ったりおどおどしたりせず、大きな背中はどこか頼もしい。
みんなが蛍くんの言葉を待っていると、
やっと口を開いた蛍くんは落ち着いた声で言った。
「…おはよう」
「「………」」
蛍くんの挨拶で、また教室がシーンと静かになった。



