…涼太?


俺は少し歩くスピードを緩めて、ポケットからケータイを取り出した。


そして画面をパッと開くと、予想外の人の名前が表示されていた。



「………」



そのメールを見た途端、サーと血の気が引いていくのが分かった。



「……まじかよっ…」


俺は、返信もせずにダッと走り出す。




【母さん:今日、帰るの遅いって行ってたけど、仕事はやく終わったからもう帰るね~ラッキー☆】



「…はぁっ………はぁっ…」



…間に合え……


ららと母さんが出くわしたら…




…なんかいろいろやばくね?



変な勘違いされそうだし、うちの母さん変人だし…



「はぁっ……はぁっ……はぁ……」



_ガチャガチャっ


_ガチャッ




「……~はぁーー…」




…間に合った…



玄関には母さんの靴はまだなくて、ららの小さいスニーカーの靴だけが、


ポツンとそこにあった。



「ららっ」



…うおっ……


リビングにいるららを覗くと、ららは、地べたですやすやと眠っていた。



…どうする俺…



「…おい…らら…」



近くで名前を呼んでも、ららはピクリともしない。



「……起きろってば…母さん帰ってく」


_ガチャガチャ


鍵の音っ


「……やべっ……」