「…やっと笑った」
…え
蛍くんはそう言って、ふにゃっとした柔らかい笑顔で笑った。
その笑顔にきゅんとしてしまった私は、きっとすごく蛍くんのことが大好き。
「……前に、進むんだろ」
…前に進む…
それはさっき私が言った言葉。
“『前に進みます!!』”
そう言ったばかりなのに、私また弱気になってた。
グッと気合いを入れ直して、
私は力強く頷いた。
いつの間にか私の手から離れていたふたりの手。
ちょっとだけ寂しいけど、さっきまで繋がれてた温もりがまだ残っている。
勇気もたくさんもらった。
後は、
_前に進むだけ
出発前に深呼吸をひとつ。
こうやって立ち止まってしまっても、また深呼吸をして前に進む。
…みんな、そうしてきたのかな
きっと大丈夫。
大丈夫…
「…よし、こっちから行こう」
私が頷いたのを確認した涼太くんは、
「静かにね」と言わんばかりに口の前で人差し指を立てた。
校舎はシーンとしていて、ドキドキと鳴る心臓の音が、いつもより大きく聞こえる気がした。
さっきの、独特な喋り方をする先生に見つからないように、そっと校舎の中を歩く。
…さっきの先生に見つかると、そんなに怒られちゃうのかな



