「ふ、ふたりとも笑いすぎですっ」
ピンチなのに、どうしてそんなに笑っていられるんですかぁ~~
門を越えられてゆっくり喜んでいる暇もなく、もう次の壁が私の前にずっしりとたっている。
それは自分のクラスの教室に入ること。
そして私にとってそれは、とても勇気のいること。
自分が教室に入っていくところを想像して、思わずぎゅっと目を閉じた。
…すごく…怖い
そう思っていたとき、蛍くんの手が私からパッと離れていった。
…え?
「ららは少し肩の力ぬけよ」
「…顔ひきつってる」
蛍くんはそう言って、私の頬を軽くむにっとひっぱった。
「むぅ…」
ひっぱられると赤ちゃんみたいな声が出て、なんだか恥ずかしい。
蛍くんはいつもと変わらない不機嫌そうな顔をしている。
でも私は、そこにちゃんと優しさが含まれていることを知ってる。
…ちゃんと知ってる
前までは分からなかったけど、今ではちゃんと知ってる。
“『初めて会った人には分からないかもしれないけど、たくさん話せば分かってくる』”
“『真弥ちゃんの良さがたくさん』”
涼太くんが言った言葉。
…たくさん話して見つけました
初めは怖かった蛍くんの、いいところ。
私が何も言わないからか、蛍くんが私の頬で遊び始めた。
ツンツンされたり、ぷにぷにされたり…
「…ふふっ」
そんな真剣な顔でぷにぷにしないでほしい。
面白くて笑っちゃう。



