学校の門の前につくと、二人はキュッと立ち止まった。
「ぶへっ」
私には急に立ち止まったりできる反射神経はないから、二人に顔面からぶつかってしまった。
や、やっと止まった…
ここが学校の門の前だということも忘れて、先に自分の足がちゃんとあることに安心する。
「ららちゃん深呼吸、深呼吸」
涼太くんが優しい声でそう言った。
同じ距離を走ったはずなのに、二人は疲れた様子もなく、息も乱れていなかった。
…す、すごい…
今も二人と繋いでいる両手は、走ったせいか、さっきよりもポカポカしている。
やっと息を整えて、
蛍くんの方へ振り向くと、ふっと微笑んでくれた。
その笑顔を見るだけで安心する。
学校の近くにいるだけで、息ができなくなるくらい苦しくなって、
足も手も震えるのに、
今はちゃんとここに立っている。
……私、ちゃんと立ててる…
ちゃんと息ができる
怖いのに、トラウマが頭をよぎるのに、
「…ここまで連れてきてくれて、ありがとうございます」
「わたし…ちゃんと息ができます…ちゃんと、前を見ることができます」
二人とならきっと、大丈夫。
そう思うんです。
私を、暗い暗い闇から連れ出してくれた。
いつもたくさんの優しさと、無邪気な笑顔を見せてくれた涼太くん。
不器用で、いつも不機嫌そうなのに、本当は優しくて、
毎日迎えに来て、学校へ連れていってくれた人。
諦めないでいてくれた人。
「……ありがとう」
笑うと、一粒の涙が頬を伝った。
_タンッ
ふたりと手を繋いだまま、思いっきり踏み出した一歩は、しっかり門を越えていた。



