突然、涼太くんが空を見上げながらそう言った。
「だから真弥(まや)ちゃんとも話したことあって、」
まやちゃん…?
「…あ、秋ちゃんの隣にいた子ね?」
それを聞いて、またあの言葉を思い出してしまい、ふっと視線をおとした。
「…いろんな人と話して、気づいた」
「そっか、みんなそれぞれ違う人生を歩んできてるんだから、」
「相手の気持ちがわからなかったり、価値観が違ったり、そういうのは当たり前だって」
涼太くんはこっちを振り向いて、優しい笑顔で笑ってくれた。
「真弥ちゃんね、はっきりしないのとか優柔不断なのが嫌いで、口も女の子にしては悪い方だけど、」
涼太くんは、ふっと柔らかく笑う。
「素直で、友達思いな子なんだ」
「初めて会った人には分からないかもしれないけど、たくさん話せば分かってくる」
「真弥ちゃんの良さがたくさん」
そんな風に、人のいいところをたくさん見つけて、こんなにもいいところがあるんだって言えるって、
…すごく素敵だなって、そう思った。
「あ~、でも、あれはひどいよね」
「俺、勝手に紹介しちゃったし、ごめんね」
こうやって私の痛みを分かってくれて、何も悪くないのに謝ってくれるところとか、
……どうしてそんなに、優しいんですか
「…いえ、私の方こそ、いつも逃げてばかりですみません」
「涼太くんは、人の良いところを見つける天才ですねっ」
私がそう言って笑うと、涼太くんは、何かを堪えるようにグッと下唇を噛んだ。
そして、ニッと笑ってくれた。
「ありがとう」
「…その言葉、宝物にする」
そう嬉しそうに言いながら。



