まだ涼太くんと出会う前、蛍くんと手を繋いで学校へ向かっていたときに、
同じ学校の人に誰とも会わなかったのは、
蛍くんが朝早くに迎えに来てくれていたからで、
おせぇよって言っていたのは、私がこうなることを、防ぐためだったのかなって、
そう思ったら、胸がきゅっとなって、泣きそうになった。
どれだけ私、優しくしてもらってたんだろう。
どれだけ…
「らら」
蛍くんの声が胸に響く。
「だいじょーぶ」
「ららのいいところ、俺いっぱい知ってるから」
「俺たちは、ららが好きだ」
「だから、だいじょーぶ」
口下手な蛍くんが、真っ直ぐ伝えてくれた。
「っ……」
前を歩く蛍くんの背中が、涙でぼやける。
「自分に負けんな、らら」
蛍くんの言葉ひとつひとつが、
私の心に深く響いた。
涼太くんは、私の背中にそっと手を置いて、優しく笑ってくれた。



