しばらく歩いていると、私達と同じ制服を着た女の子が1人、前を歩いているのが見えてきた。
それを見た瞬間、自然とビクッと体が反応してしまう。
その時、両方の手がぎゅっと強く握られた気がした。
まるで、
大丈夫って言われてるみたいに。
女の子に近づくにつれて、心臓の音が速くなっていくような気がした。
1人で歩いているその女の子は、私と同じくらいか、それより少し大きいかぐらいの身長で、
どこか大人しそうな、真面目な雰囲気の女の子だった。
どうしてそう思ったのかは分からないけれど、歩き方や、
道路の端っこをどこか申し訳なさそうにポツリと1人で歩く姿が、その印象を強くさせたのかもしれないと思った。
耳の近くで結ばれた低いツインテールは、女の子らしくて可愛い。
「…涼太、俺って前にいるあいつと仲いいっけ?」
……?
蛍くんが言った質問がなんだか変で、思わず頭にハテナマークが浮かぶ。
自分と仲がいい人が、自分で分からないってことですよね…?
そんな私とは違って、涼太くんは慣れたように言った。
「あの後ろ姿は多分…同じクラスの凛音(りのん)ちゃんかな」
「大丈夫、大人しい子だからけーちゃんとは喋ったことないと思うよ」
涼太くんはそう言って優しく微笑んだ。
「…ん、ありがと」
…なんだか気になるけど、言いづらいことかもしれないし、
あんまり踏み込まないでおこう…
きっと、ずっと一緒にいる涼太くんだからこそ、分かることがたくさんあるんだ。
「ね、ららちゃん、あの子に話しかけてもいいかな?」
「ふぇっっ」
涼太くんに顔を寄せられて、こそっと言われた考えもしなかったその言葉に、
思わず変な声が出てしまった。



