「は?!お前っなに笑ってんだっ、このオカンっ」
「い、いやっ…わ、笑ってな…ふはっ」
「しっかり笑ってんじゃねーかっ」
涼太くんも多分、可愛くて笑ってるんだろうけど、蛍くんはバカにされたと思ってるみたい。
私にはそれが面白くて、気がつけば、自然と笑顔になっていた。
「ふっ…あははっ…」
私が声に出して笑えば、二人は眉を下げて安心したように笑った。
やっぱり蛍くんと涼太くんの会話は、面白くて可愛いです
蛍くんは私に手を差し出して、いつものように不機嫌そうに言った。
「ちゃんと前見て歩けよ」
「お前、電柱に頭ぶつけたことあったろ、あぶねー」
…最後のは言わないでほしかったです
涼太くんは電柱の話を聞いて、やっと落ち着いてきたのにまた笑い始めてしまった。
けど、
いつも不機嫌そうに差し出されたその手に、私は助けられてきたんですね。
蛍くんの手にそっと触れた。
すると、蛍くんがしっかり手をぎゅっと繋いでくれる。
「さ、しゅっぱーつ!」
涼太くんはそう言って前に進むけど、私たちは後には続かなかった。