お母さんがインターフォンの前に立って、「今開けるわね」と明るい声で言った。
…き、きた…
この時間は私がいつも布団の中で、蛍くんが迎えに来ることに怯えて、ブルブル震えている時間。
でも私は今、リビングでのんびりご飯を食べている。
でもやっぱり…
反射的に体が逃げろとサインを出してます…
震える手と体がそれを伝えているようだった。
私はゆっくりと深呼吸をすると、「私が開けるね」となるべく落ち着いた声で、お母さんに言った。
お母さんは嬉しそうに「そう」と、それだけ言って「蛍くんたちの朝ごはんの準備するわね」とキッチンへと向かった。
……よぉーし…
私は震える手にグッと力を入れてドアを開ける。
ドアを開けると、
制服姿の蛍くんと涼太くんが、口をポカーンと開けてそこに立っていた。
「……らら?」