「……嬉しかった…ありがとう」



…嬉しかった


心の底から、すげー嬉しかった



「…うん、ははっ…光流さん言わなくていいのに…」



照れているのか、いつもより小さくて静かな声で涼太は言った。



…だから、




「だから俺も、涼太に何かしてやりたいんだよ」




それは俺の本音だった。



こんな照れくさいこと人生で1度しか言えない気がするけど、今はきっと言うべきなんだと思う。



涼太が俺に、何か言いたそうにしていることを俺は分かっていた。



勘だけど、一緒にいると仕草とか表情で分かってくるものもあると思うから。



いつも無邪気に笑ってて、でもその裏では寂しい気持ちを抱えてる。



一人が嫌いで、誰より優しい人。




「…いい、何もかもそんなに我慢しなくていい」




自然と少し、声が震えた。



涼太は誰にでも心を開いているようで、本人さえ気づかないけど、実はずっと閉じたままなんだと思う。



それは涼太が、いつも無理して笑っているとかではなくて、


うん、多分そういうのじゃない。



ただ自分を大切にするのが、下手くそなんだと思う。




涼太は何も言わなかった。



変わりに聞こえたのは、息を吸う度に震える、呼吸だけ。



「……っ……っ…」



たまに聞こえる声は、必死に泣くのを我慢しているようだった。



俺もそれ以上、何も言わなかった。



ただ、少しだけホッとした。



本当に辛いとき、


いつもみたいに、笑ってごまかされないくらいには、



俺は涼太にとって心を許せる人なんだなって



そう思うと嬉しくて、


ほんの少しだけ…泣きたくなった