…いつか、
「…はいっ」
また学校でって、言える日がきますように。
電話を切ろうと、耳からケータイを離そうとしたとき、蛍くんの照れた声が聞こえてきた。
「…声聞けて嬉しかった」
「……じゃぁ、」
なにも言えないまま通話終了になってしまった画面を、目を丸くしながら見つめる。
う、
「うぅ~~……」
思わず足をじたばたしてしまうほど、心がぎゅっとする。
ほっぺもきっと赤い。
…恋って、こんな気持ちなんですね
蛍くんと電話しただけで、こんなにも嬉しくてドキドキして、
…でもすごく、安心して…
蛍くんも私が好きだって、すごく夢みたいだけど、
“『…声聞けて嬉しかった』”
…私も嬉しかったです、蛍くん
「どうだったの?」
私が自分の世界に入っていると、洗濯物をたたみながらお母さんがそう言った。
「蛍くん、ちゃんと元気そうだった!」
「ニヤニヤしてるけど、なにかいいことあったの?」
お母さんが面白いものを見るように笑う。
私は、答えようと1度開いた口をまた閉じた。
「…ふふっ…秘密!」
お母さんは呆れながら笑って、「はいはい」と優しい声で言った。
蛍くんがくれた嬉しい言葉を、私だけが知っていたいなんて、
こんな気持ちは初めてです。