少し落ち着いてくると、蛍くんの声とは違う音が、たくさん聞こえることに今になって気がついた。



車の音や、誰かの話す声。



「おでかけですか?」



…蛍くんの休日を、私との電話で邪魔をするわけにはいきませんっ



「あぁ、あいつ…涼太の家向かってる」



休日にまで一緒にいる二人が微笑ましくて、ふっとはにかんだ。



本当に仲がいいんだなぁ…



走ってるってことは、約束の時間に遅刻しそうなのかな?



だったらはやく電話を終わらせなくちゃ



「あのっ…蛍くんの無事が確認できたのでもう大丈夫です!また…」


また……?



またの次の言葉はなんだろう。



また学校で…


私にはその言葉は言えない



「…また、月曜日」



蛍くんは優しい声でそう言ってくれた。



まるで当たり前だろって、そう言われてるような、蛍くんの落ち着く声。