ドッキューンッ



私は、勢いよくバタンッと床に倒れる。



か、か、彼氏…



蛍くんが私のか、か、かぁぁ…



「お母さん、その言葉…破壊力がすごいからあんまり言わないでください…」



朝起きたとき、昨日のことは夢だったんじゃないかって思った。



でも昨日抱きしめて寝た、流星とももこがちゃんと私の腕の中にある。



……夢じゃ、ない



誕生日を祝ってもらったことも、蛍くんに…



……告白されたのも



「…夢じゃないんです~~うへへっ」




「もー、何言ってるの、彼氏だからって自分のいいところばかり見せるものじゃないのよ」




「ありのままを出せない、嫌われたくないからって気を遣う、そんなのは長くは続かないわよ」




お母さんのそんな言葉で、急に現実に戻されたような気持ちになった。



…そ、そうなんだ…



そっか…


お母さんはそういうの、今までの人生で、たくさん経験してきたんだ



私より長く生きてるから



「こ、恋の師匠!!」



「…今は…電話をするべきですか?」



お母さんは洗濯物から、私へと視線を向けると、ふっと眉を下げて笑った。




「ずっと気になるんでしょ?」



「じゃぁ、かけてみればいいんじゃない」




お母さんは余裕のある表情で、やっぱりすごく大人なんだなって思った。



「そ、そうする…」



ゆっくり深呼吸をしながら、ケータイ画面の電話のマークに指を近づける。



_ドキドキ



心臓の音が速くなっていくような気がした。



「~っ…えいっ」



……かけちゃった