涙で視界がにじんだ時、ららちゃんの笑顔が頭に浮かんだ。
幸せそうな笑顔。
けーちゃんを見て笑う横顔。
……好きだったな…その笑顔が
そっか…俺、
ららちゃんが、好きだったんだ
「……なんだ…それ…」
けーちゃんに偉そうに叱ったくせに。
…なんだそれ
母さんと父さんにも捨てられて、
俺の周りから、みんないなくなんのかな。
“『…涼太さんといるの、楽しいですっ…』”
…こんな弱音ばっかりの俺なんか、いつもの俺じゃないじゃん
「…すーー……」
俺は大きく息を吸って、ゆっくりと息をはいた。
…自分でも分かってる
母さんと父さんがいなくなってから、俺は自分の大切にしている人が、
いつかはどこかへいってしまうんじゃないかって、敏感になってること。
けーちゃんや、ららちゃんもいつかは…
俺は深呼吸を何回か繰り返した後、ゆっくりと立ち上がった。
そしてまた歩き始めた。
「……大丈夫…大丈夫…」
“『あっ、じゃぁ俺は、妹にしたい小さくて可愛い天使みたいな、らーちゃんで!!』”
「…大丈夫…」
“『………嬉しいです…っ…』”
“『…涼太さんといるの、楽しいですっ…』”
…思ったことをそのまま伝えてくれる、素直な女の子で、
“『今日はっ…私にとって、とても大切な日になりましたっ…』”
俺にはもったいないくらいの、素敵な言葉をくれた。
_『俺にとっても、大切な日になったよ』
もう少ししたら前を向くから、
いつもみたいに笑うから、
この気持ちは俺だけの宝物にしよう。