「あーっ、俺、見たいドラマあるんだった!もう帰りますね!お邪魔しましたっ」
……胸が、苦しい
「光流さんココアおいしかったです、ありがとうっ」
勢いよくけーちゃんの家から飛び出すと、歩くスピードをだんだんと速めた。
「…っ……」
_ポタッ…
地面にポツリと落ちたのは、雨じゃない。
だって空は、クラクラするくらいに晴れている。
「…ぅっ…っ…」
大好きな空を見上げても、今は余計に苦しくなった。
ガクッと道路の端っこにしゃがみこんだ。
母さんも、けーちゃんも、ららちゃんも、いつかはみんな、俺から離れて行くのかな。
「………独りに…しないで…」
そう呟いた声は、誰にも聞こえることなく、静かに消えた。



