結局あの後、帰りが遅い俺を心配した母さんが、
学校に電話をして、先生が学校中を探しまわったらしい。
そのおかげで、体育館を探しに来た先生に、俺は助けてもらった。
母さんからだと思われる電話が、ずっとポケットで鳴っていたけど、
俺はグッと見ないふりをしていた。
先生にどうして閉じ込められたかを聞かれても、俺は何も言わなかった。
言いたくなかったから、だせーから。
家に帰った時も、心配する母さんを無視して、なにも話さなかった。
『何があったの?!』
『なんで…傷だらけなの…』
そう言った母さんの顔は、ひどく悲しんでいた。
何かおかしいと思って、母さんが学校に電話をして先生に聞いたのか、いじめた本人に聞いたのか、俺には分からないけど、
数日後に、俺がずっといじめられていたことも、体育館倉庫に閉じ込められたことも、
なぜか母さんにばれていた。
俺はその日初めて、
母さんの泣き顔を見た。
なんだ、結局泣かせてんじゃねーか
俺は何がしたかったんだ
……あーぁ、
くそダセー…
それなのに俺は、涙も出なければ、母さんにかける言葉も見つからない。
泣くということを、俺は忘れてしまったんだろう、きっと。
『…どうしてっ…母さんに…言ってくれなかったのっ…』
その後、何て言ったんだっけな
あぁ、
『言っても、どーにもなんねーだろ』
俺、こう言ったんだっけ



